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ジョン・グレイ『わらの犬』
 ジョングレイの『わらの犬』を読んだ。帯にあるドーキンスの『利己的な遺伝子』以来の衝撃云々の文字が、この本を手に取ったきっかけ。そんな本を全く知らなかった(みすず書房の邦訳としては新刊)ショックとなんとで即購入。

 生半可な自分のような素人ペシミストは何も言うことができない。細部には突っ込みたいところがあるが、全体としては何もいえない。完結な文章で、圧倒的。科学技術信仰を批判するとともに、自分は違うと思い込むだけで実はキリスト教観に支配される現在の人類の自立していなさを痛烈に批判する。
 あまりに救いがなく、皮肉に満ちているという批判とそのぐうの音も言わさない物言いで、2002年の出版から多くの議論を呼んできたらしい。が、出発点とは常に現状を把握した後に設定されるべきで、その前提すら認めない人たちがいるというのは少々おかしい。

 少し引用します。
 「人類が進歩の希望にすがりついているとしたら、それは無条件の信頼からではなく、諦めた先に何があるかわからない不安ゆえである」
 「科学は、人間が他の生き物すべてと違って世界を理解する能力を備えているという思いあがりを助長してきたが、ほんとうは、人間が知覚するように組み立てられた世界は絵空事であることを露呈するとことに、科学ならではの意味があるのではなかろうか」
 「繁栄が刺激的な欲求を前提とするというだけなら今にはじまった話ではない。問題は、新しい害毒を創出しなくては繁栄を維持できないことである」
 「古代人にとって、終わりのない労働は奴隷の烙印だった。シジフォスの労働は劫罰である。進歩のために労働に甘んじている現代人は奴隷と大差ない」
 「いったい、人間の完成以上に退屈なことがあるだろうか。進歩の概念は人類の不滅願望に未来技術のひねりを加えただけにすぎない」
 
 僕が余計に悔しいのは、こんな本が2002年に出て、7年も知らず、人に知らされるしかないという不甲斐なさだ。とりもなおさず、グローバル化だなんだと言うけれど日本の「グローバル」感もまたこの程度のものだということでしょう。

 各人がどう評するかは別にして、「賛否を問わず避けて通れない」とタイムズ他が「今年の一冊」に挙げた本は、文字通り私のような素人の頭にもぐさっと刺さったままだ。

 



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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

【2009/12/20 16:36】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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